私の通勤路は野鳥でいっぱい
通勤路の寄り道に猫ヶ洞池がある。この池は山崎川の源泉であり、幾種類ものカモやカイツブリが、またオシドリなどの渡り鳥が飛来し体を休めている。池の奥近くの葦や藪の中には、ヨシキリ類やウグイスがいて、池の周辺にはハクセキレイやセグロセキレイが長い尾を上下に振りながら歩き廻っている。この場所は町の高台に位置していて雑木林もある。朝が早いせいか野鳥は元気に私を迎えてくれる。シジューカラやコガラやエナガそしてヤマガラがいて、キツツキ類のコゲラの混群がにぎやかに木の枝へと移動している。林の奥にはジェーという声で鳴く、きれいなカケスそしてキジバト。平地にはシロハラやツグミ、カワラヒワ、ヒヨドリそしてハシブトガラスがいる。10分間くらいの寄り道で、20種類の野鳥が私の心を豊かにしてくれる。キジも私と散歩し、コサギも優雅に飛翔している。少し立ち止まって見ていると、水面に近い横木の枝で、水中の魚を狙っているカワセミがいつものように姿を見せる。身近かで美しい鳥が確認出きる。
いつも同じ位置で水面下の魚を狙って的確に捕らえている様子を確認する時、我に返り、職場へと足を進める。
私の仕事は、病院で放射線治療業務に携わっている。がんや悪性腫瘍などの疾患に対して、高エネルギー放射線治療装置(リニアック装置)を用い、患者さんの体内の腫瘍に外部から放射線照射を行って治療します。これは切らなくても治す最も優位で安全な放射線治療(Radiation Therapy)です。
この治療は同じ腫瘍部に対して20回から30回に分けて照射を行います。患者の体内の腫瘍部を狙い撃ちする技術が必要となります。毎回同じ精度で再現されなければなりません。
当然再現されていることの実証には、線量測定や正確な放射線治療計画とその照合技術の専門的知識が必要なのです。
カワセミが水面下の魚を捕獲技術は、放射線治療技術と似ていると思います。カラスのくちばしがカワセミのように長いからといって、水面下の魚を捕獲することは出来ません。
放射線治療は高度の技術が要求され熟練が必要です。今日のように、経験がなく訓練指導を受けていない50歳代後半の職員を配置するのは間違っていないでしょうか。若い方は大歓迎!)
いつも出会うキジの夫婦が500メートル離れた私の職場の茂みに訪ねてきた時は、とてもうれしい感動でした。
PS:この文章は1998年愛知県の文化創造研修を終えた際の「わたしの寄り道」の文章であった。
この編集担当者から「この文章で良いか?」との電話があった。なぜならば、医療現場を全く知らない、県人事課への強いメッセージが込められ専門家の人事配置を要求してていたからである。私は「修正をしなくて良いです」と伝えた。
このリーフレットは2000人以上の全職員に配布された。けれども、今日に至っても改善されていない、2008年。
安全な医療の放射線治療を提供するには、放射線治療専門放射線技師そして放射線治療品質管理士を任用しなくては、国民が安心して放射線治療を受けることができない。医療現場からの直接的なメッセージを発信しても、医療現場を無視した不適切な人事が行われる、行政の責任は大きい。
2000年に発生した国立・公立・私立病院にて発生した放射線治療における過剰照射や過小照射による医療事故が発生する。
2005年に、放射線治療の安全体制がようやく確立する。それから
3年後の2008年4月1日がん医療の推進と共に、放射線治療の安全管理体制の評価が打ち出された。診療保険導入の中に、放射線治療専任加算が加わり、新規の医療機器安全管理料2(保険点数:1000点)が加わった。