日本放射線治療品質管理機構
1、放射線治療の効果への理解とニーズの高まりに伴って、最先端の放射線治療装置が、放射線治療専門医師の常駐していない全国各地の病院に導入される事例が散見されるようになっている。
2、最新鋭の放射線治療装置は、達成可能な線量分布や位置決め上の進歩はありますが、投与線量や照射手順などにおいて、従来の放射線治療装置に比べて品質管理上の安全性が増しているということは、ありません。
3、一部で「新しい放射線治療装置だと品質管理が簡単になる」という誤解があるかもしれませんが、それは「IMRT:強度変調放射線治療(先進医療)のような膨大な品質管理業務を必要とする治療の品質管理の、ごく一部が簡略され得る」という意味であり、実際には従来の放射線治療に比べて品質管理すべき事項は大幅に増えている。(注a,b,c)
4、従って放射線治療における医療事故防止のための安全管理体制の確立に向けて(提言)に示す如く、新たに放射線治療を開始する施設にあっては、放射線腫瘍学専門医師、放射線治療専門放射線技師はもちろん、当機構で認定した放射線治療品質管理士を品質管理を専らとする者として任用する事を強く推奨する。
注a、むしろ、1)小照射野の正確な線量測定、2)ソフトへのデータ入力、3)ソフトへのバージョンアップ、治療装置へのデーター転送などにおける人為的過誤のリスクは増し、品質管理項目も増している。
注b、例えば、脳や体幹部の定位放射線治療で多中心性の病変を治療する場合には、手計算による線量の確認は時に困難で、従来の放射線治療より時間をかけた症例毎の品質管理が重要である。
注c、また、強度変調放射線治療の場合には、手計算による線量の確認は不可能であり、個々の症例毎の物理的な品質管理が必須である。
上記の声明の中で、当病院においては医療の安全対策の中で放射線治療品質管理室を設定し、2006年4月1日、放射線治療品質管理士一名を全国に先駆けて任用する。
治療計画装置に入力するリニアック装置のデータは 三次元水ファントムを用いて測定が行われる。
年一回から二回、一宮市立市民病院主催の放射線治療品質管理委員会が行われる。
2006年に行われ第一回目の放射線治療品質管理委員会では、一台の治療装置に対して放射線治療専門技師二名一組体制が、100パーセント達成される。以後の同委員会で新規導入二台の治療装置担当放射線治療専門技師五名および医学物理士一名、そして常勤の放射線腫瘍医師二名が整う。また、高精度放射線治療計画の計画医師一名(非常勤)が整う。
出席者 放射線治療品質管理士含め10名
二名一組体制の100パーセント実施および実習訓練の風景
放射線治療スタッフ全員がリニアック治療装置の機能を学ぶ。
放射線外部照射(IMRT)の3D治療計画の検証を行うための専用ファントム
デルタ4
Tomo Therapyの治療計画の検証には、多くの時間が必要となる。放射線治療品質管理士や医学物理士そして、放射線治療専門放射線技師が共同で治療計画の検証を行う。
放射線治療品質管理士は、放射線治療装置や放射線治療計画装置の管理(QA)プログラムを作成して、機器導入以降の品質管理を専らとする業務。現在、放射線治療管理料2が制定されている。当病院は、がん拠点病院認定を受け、高精度放射線治療の周辺整備を2006年4月1日から行う。
一宮市立市民病院の放射線治療室に市立美術館の収蔵作品のレプリカが持ち込まれた風景。
強い感動が得られる作品から、治療を受けている患者さんの自己治癒力が高められる試み。
現在、実現に向けての取り組みがなされている。
一方、美術館のアウトリーチとして、患者さんに元気が頂ける何点かの作品が放射線治療室に展示されている。